サービス業フランチャイズ雑感

FC業界で働く中小企業診断士が、感じたことを感じたままに書いています。

サービス業FC関連時事(2021年1月)

明けましておめでとうございます。年明け早々に緊急事態宣言が再発令されて、自粛ムードの続く1年の始まりとなりました。そのなかで、コロナ禍の前から拡大傾向だった「おひとりさま消費」が加速し、飲食はもちろん宿泊・娯楽などのサービス消費を1人で楽しむ消費者が増えています。カラオケのビッグエコーでは、1人客の割合が1年間で8~9ポイント上昇し、1人での楽器演奏やオンライン飲み会の参加に利用できる「テレワークプラン」の売上高も好調とのことです(1/28日経朝刊)。

緊急事態宣言の再発令による営業短縮要請は対応分かれる

1月7日から順次11都府県に発令された緊急事態宣言により、再び飲食店を中心に午後8時までの時短営業が要請されました。サービス業種においても、プリンスホテルは、対象地域における飲食施設の終了時間を午後8時に繰り上げることを発表し、オリエンタルランド東京ディズニーリゾートの営業時間を午後7時までに前倒しすると発表しました(1/11日経MJ)。

カラオケ店の対応は分かれています。「ビッグエコー」を運営する第一興商は、対象地域の店舗について、31店舗の臨時休業や営業時間の前倒し、土日のみの営業に切り替えるなど時間短縮営業を始めます。一方、「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画は、緊急事態宣言の発令期間中も通常通り運営すると発表しました(1/22日経MJ)。売上低下の長期化で収益確保をどのようにおこなうのか、コロナ禍で各社は厳しい経営判断を求められています。

f:id:in_a_bar:20210131172249j:plain

プログラミング教室にもオンライン授業のながれ

1月から4月にかけては、教育・習い事需要が増加して各社とも積極的な生徒募集をおこないます。学校教育のプログラミング必修化などの追い風があり、子供向けプログラミング教室の市場規模は急増。船井総研GMOメディアの試算では、2020年の市場規模は約140億円、25年には300億円近くまで伸長すると言われています。

そのなかで、家電量販店エディオン傘下で「ロボ団」を展開する夢見るは、動画配信でプログラミングの基礎を学べるプランを新設し、オンライン事業を強化します。通学型の教室よりも月謝を安価に抑え入会者数拡大を図ります(1/27日経MJ)。学習塾「スクールIE」などを運営するやる気スイッチグループは、AI開発のプリファード・ネットワークスと提携して「プログラミング教育HALLO」のFC展開を今春より開始します(1/15日経朝刊)。

一方、社会人向けの教室では、テックアイエスがプログラミング教室事業を拡大し、各地のコワーキングスペースとオンラインサポートを活用して、現在の愛媛県から関西・中国地方などに教室を拡大する計画です(1/23日経朝刊・四国)。サービスが乱立状態にある中で、早期に収益化できるモデルを各社が模索しています。

土木・建設業界のフランチャイズ・パッケージ拡大

1月は土木・建設業のFC関連ニュースも紙面に数多く登場しました。長野県と東京都に本社を置く土木管理総合試験所は今年、土質・地質調査と営業ノウハウを活かして、FC店を現在の3倍の12拠点に拡大する計画です(1/14日経朝刊・信越)。また、徳島県で解体工事をおこなうフクブルは、放置された家屋を特殊フィルムで覆い、5年以上の保管を可能にする「ハウスパッキング」の特許を出願し、解体工事までの新たな保管方法として、空き家問題に悩む自治体などと連携してサービスの全国展開を目指します。施工道具やフィルムの改良を進め、フランチャイズ方式でサービス網を広げる構想もあります(1/26日経朝刊・四国)。

国土交通省の調査では、全国の建設業許可業者数のうち中小企業者は全体の99.4%、個人事業主も16.5%を占め小規模での経営が非常に多くなっています。建設業許可は29業種に分かれていますが、単独業種のみ許可を受けている業者が全体の約半数です。収益確保を目的としたサービス多角化手法として、特定工法や技術・営業ノウハウを得られるフランチャイズ加盟を選ぶ企業も現れています。

 

昨年は残念ながら中止となった「フランチャイズ・ショー」も、今のところ予定通り東京ビッグサイトで開催予定です。今年はセミナーでの講演を予定していますので、準備をしつつ当日は元気なFC本部企業を見ていきたいと思います。