サービス業フランチャイズ雑感

FC業界で働く中小企業診断士が、感じたことを感じたままに書いています。

サービス業FC関連時事(2021年4月)

今月は危惧していた緊急事態宣言が再発令されてしまいました。東京都および近畿3府県と地域は限定的ですが、飲食店での酒類提供禁止はかなりのインパクトで、ランチもおこなわず休業を選択する居酒屋が非常に多いように感じます。

ただ、今回の発令に対しては、経済的なダメージや施策の効果性に踏みこんだ反対意見もあり、休業要請のあった大型商業施設でも、どの業態・店舗が営業しているのかは対応がまちまちです。

そのなかで、コロナをリスクと捉えつつも、自社のサービスをどんどん新しくしているフランチャイズ企業も続々と現れており、変化が求められる時代の勝ち組になっていくのだと感じます。

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サービスFC業態それぞれの新型コロナ感染防止対策

サービス業種は接客や施術など人によるサービス提供が不可欠なものもある一方、新型コロナの影響で、生活者の立場からはデジタル化されたサービスを求めるニーズも大きくなっています。

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、千葉県浦安市に「まん延防止等重点措置」が適用されることを受け、閉園時間を午後8時に繰り上げます。これまでも、1日の来場人数の上限設定や、ディズニーランドとディズニーシーの閉演時間をずらすなど混雑を緩和させる工夫をおこなっています(4/20日経朝刊)。

プリンスホテルは、新業態の宿泊特化型ホテル「プリンス・スマート・イン」を博多に開業します。スマホキーやスマートスピーカーを各部屋に導入し、アプリを使った顔認証でのチェックインなど非接触型のサービスを前面に打ち出しています(4/20日経朝刊・九州)。

宅配荷物数が年間20億個を超え過去最多を記録したヤマト運輸は、自宅ポストで受け取れる「ネコポス」サービスが好調です。新型コロナによって「置き配」が生活者に受け入れられたことを背景に、感染防止対策と集配効率向上の両面で効果を上げています(4/23日経MJ)。

新型コロナで増加した需要で独自性を出すFC業態

今月は、新型コロナの影響で活性化された需要に対応してサービス化した注目企業の記事も多くありました。

コインランドリーを展開するオクラボは、カフェやスポーツジムを併設したコインランドリーを首都圏で運営します。カフェ併設店以外でも無線LANを備え、テレワーク需要も取り込みたい考えです(4/26日経夕刊)。

スポーツジム「メガロス」を運営する野村不動産ライフ&スポーツは、シニア世代向け個人運動プログラムの展開をはじめました。新型コロナで外出を控えた高齢者の間で、フレイル(加齢による運動機能・認知機能の低下)の進行が問題となっており、プログラムの提供で免疫力や体力の低下を防止します(4/23日経MJ)。

住宅販売のFC本部であるケイアイスター不動産は、自動車リースをおこなう企業と業務提携し、月額制の新車リースのサービス提供を開始しました。住宅との親和性の高さに目を付け、店舗でのサービスメニューを強化しています(4/20日経朝刊・埼玉)。どの業態も他社との差別化のため、新型コロナ需要に注目しています。

コロナ後を見据えたホテルチェーンの進出計画

移動制限や外国人観光客の激減で大きな打撃を受けているホテル業界ですが、それぞれの企業が「コロナ後」を見据えた設備投資を着々と進めています。

「コンフォートホテル」を運営するグリーンズは、競合ホテルの撤退で好立地の物件が安価に獲得できる環境となり、資金調達を強化して福岡や那覇岐阜県高山市など観光地を中心に出店ペースを上げています(4/21日経朝刊・中部)。

観光地のホテルでは、英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが、安比高原で「インターコンチネンタル」を12月開業予定、2024年にはニセコに高級ホテル「シックスセンシズホテルズリゾーツスパ」の開業計画を立て、感染終息後のインバウンド富裕層の取り込みを狙っています(4/9日経朝刊・北海道;4/29日経朝刊・東北)。

現在はマイクロツーリズムやワーケーション需要を掘り起こす企業も多いなか、中長期の戦略による進出計画といえそうです。

 

2年連続で自粛ムードのゴールデンウイークとなりました。昨年よりは動きがあるものの帰省や観光に対して慎重な人が多いことは変わりません。感染者数も増加傾向にあるなかで、ゴールデンウイーク明けにはオリンピックの開催方法が話題の中心になるでしょう。

先行きがますます不透明な状態を、自分の足元をしっかり固める期間にしていきたいと思います。