サービス業フランチャイズ雑感

FC業界で働く中小企業診断士が、感じたことを感じたままに書いています。

サービス業FC関連時事(2021年7月)

緊急事態宣言下でのオリンピックは、無観客での開催に加え直前まで関係者の不祥事が相次ぎ、全国的な盛り上がりは今ひとつです。

増え続ける新規感染者に対し、政府は8月末まで緊急事態宣言の延長・拡大を決定しました。県境を越える移動自粛を訴えていますが、お盆期間の飛行機・新幹線の予約は増えていて、JTBは夏休み期間の国内旅行者数を前年比5.3%増の4000万人と見込んでいるそうです(7/31日経朝刊)。

様々な面でダブルスタンダードが露わとなり、生活者も覚悟を決めて動き始めた感じでしょうか。

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夏休みのスポーツ・レジャー需要に応えるサービスが続々登場

オリンピック期間は、普段なかなか見られないスポーツ競技を楽しめる機会でもあります。選手の活躍をきっかけに競技人口が増えるスポーツもあるでしょう。レスポンスエンジニアが運営する人工サーフィン施設「神戸レイーズ」も、コロナ禍で注目が集まっています。実際の海では上級者が多く混雑する一方、神戸レイーズは初級者対象で定員入替え制、確実に波があることで人気を集めています(7/11日経MJ)。

また、夏休みのレジャー需要に合わせて、ホテルチェーン各社も様々なサービスを展開しています。金沢東急ホテルは、家族連れ向けにキャンプ気分が味わえる「ホテルでキャンプ体験プラン」を発売しました。客室内にテントやハンモックを設け、夜は室内プラネタリウムで星を眺めることができます(7/11日経MJ)。ホテルニューオータニ大阪は、屋根のないルーフトッププールが何度でも使える「無制限入場チケット」の販売を始めました。お盆休みには屋上庭園でスイカ割りや線香花火を楽しめるサービスも用意しています(7/7日経MJ)。

ワーケーションも夏休み仕様に進化中?

コロナ禍のアウトドア人気を追い風に、ワーケーションプランも進化を続けています。西武HDは、軽井沢のプリンスショッピングプラザ内にワーケーション施設をオープンしました。リゾート地の強みを生かして緑が見える開放的な空間で、仕事内容や会話が外部に漏れないよう個室や電話ブースを充実させています(7/30日経MJ)。

大和ハウス系列のコスモスイニシアは、運営するグランピング施設「エトワ笠間」で企業向けプラン「OUT WORK」の募集を始めました。テントやロッジなどのアウトドアスペースを企業の会議や合宿向けに提供し、バーベキューやたき火も楽しるそうです(7/11日経MJ)。

東急ホテルズは、セルリアンタワー東急ホテルで犬と一緒に泊まれる「ドッグフレンドリーステイ」プランの販売を始めました。専用ルームを新設し、ドッグサークルや犬用のトイレなどの備品を客室に用意します(7/21日経MJ)。ワーケーションは、ビジネスとバケーションのバランスが大切ですが、夏季のサービスはレジャー性の強いプランが多く見られるようです。

積極的に海外展開を進めるサービス業FC

サービス業FC企業の海外展開の記事も多くありました。ヤマハはJICAと業務委託契約を結び、エジプトで日本式教育を展開する公立の小学校「エジプト・日本学校(EJS)」約10校で楽器教育を始めます。現地教員への研修などを通じてリコーダーなど楽器を使った音楽教育の普及を目指し、アフリカでの楽器販売拡大につなげたい考えです(7/30日経MJ)。

土質・地質調査の土木管理総合試験所は、2020年に稼働を始めたベトナム現地法人の社員を4倍に増やして業務量を拡大します。橋や道路などインフラのひび割れなどを調査し図面作製するほか、ひび割れのシミュレーション解析作業なども担います。調査業務のノウハウで、全国の土木関連企業をフランチャイズ化する新事業も強化します(7/14日経朝刊・信越)。

保育施設運営のキッズコーポレーションHDは、中国の保育施設運営会社とパートナーシップ契約を結び、自社の保育ノウハウを提供するビジネスモデルで海外展開を進めています。2022年に山東省で開業する保育園のため、日本から保育士を派遣して現地の保育士に教育方法を伝えています。キッズコーポレーションは、2020年に明光ネットワークジャパンからシンガポールの保育園事業を買収するなど、海外展開に積極的です(7/30日経朝刊・北関東)。

一方中国では、学習塾を規制する動きがあります。新規開業認可を取りやめ、既存の学習塾は非営利団体として登記、学費も政府が基準額を示して管理するなど、少子化対策として家計の教育費負担を抑える政策を採るようです(7/26日経朝刊)。

 

ワクチン接種率の上昇で、今後は人の動きも少しずつ活性化されると思われます。フランチャイズ業界は、世の中の変化が大きければ大きいほど強い業態が生まれる可能性を秘めています。サービス業FCにおいても、新たなニーズをつかみ復活・成長する企業が現れてくるでしょう。